実現できなかった演奏(7)
(高校生)当時、彼女の好きな男性タレントを聞いたことがある。(たぶん本人にではない)
その人とは、たくましく浅黒い肌を持った時任三郎だった。
もやしみたいになよなよした“のび太くん”と呼ばれていた私とは正反対の男である。
たしか当時、低く渋い声で“川の流れを抱いて眠りたい”という曲を歌っていた。
ずいぶん結末を引っぱってしまったが、このあたりで終わりにしよう。
同窓会のテーブルでSが絞り出すように放った言葉とは…。
「(クラスの幹事である)自分が連絡するはずの彼女の連絡先は名簿になかった。Tちゃんは、亡くなっていた」。
病気の名前は“雨に消えたジョガー”の骨肉腫とは違う白血病ということだった。
数人と話すうち、詳しいことはMさん(女性)が知っているだろうと聞いた。
二次会のカラオケボックスでMさんと話す機会を得た。
彼女が泣きながら語ってくれたTちゃんの最後とは…。
「Tちゃんは知り合ったときからあざができたらなかなか消えない体質で、たぶん生まれつきの病気だったと思う。お父さんが亡くなった5年前に無理をしたのか急に体調を崩し、後を追うように1ヶ月後に亡くなった」。
彼女は病気と闘いながら、(たぶんフルタイムではつとめられないながら)法律事務所や会計事務所で働いていたそうである。
「“ただのクラスメイト”でしかない私だったが、彼女のためにできることはなかったのか」悔やまれてならない。
「風がやんだら沖まで船を出そう 手紙を入れたガラスびんを持って」(荒井由実“瞳を閉じて”)。
ユーミンが長崎県五島の中学生だか高校生だかのために作った曲がなぜだか頭にひびく。
「遠いところへ行った友達に潮騒の音がもう一度届くように…」。
私の「28」は、海辺の町に育った彼女へのレクイエムとなってしまった。
いつか(近いうちに)彼女の墓を訪ねよう。(さすがにギターは背負って行けないけれど…)
(完)
※文章の完成度が低いのは、常に酔っぱらって書いているからです。それはそれで素直でいいと思うのですが、ちゃんとした文章(もっと多くのエピソードがあるし、ていねいにまとめれば結構読めると思います)を書くまで終わらないような気がします。墓前でギターを弾くまでかもしれませんが…。


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