居酒屋にて
昨日は仕事納めだった。
夕方になって「このまま帰るのは寂しいので飲みに行こうか」と誰かが言い、3人が応じて近くの居酒屋へ。
前もって電話しておいたのだろう、席には段取りよく寄せ鍋が用意してあった。
具は豚肉の薄切り、白菜、ネギ、豆腐、椎茸、シメジ、春菊、とうどん麺。
出汁の中には肉団子とゴボウ、手羽先が入っている。
そして、横のテーブルには“タラバガニ"と印刷された発砲スチロールのケースが。
ちょっと戻って昼休み。
私が所属する部署では、お昼ご飯ににぎり寿司を手配していた。
私は魚が苦手だが、海老とイカと卵焼き、カッパ巻きは大丈夫。
交換してもらえば、まあおなかがたまるくらいは食べられるだろう。
そういう風に思っていた。
そうしたら、「(魚が苦手な者がいるので)1つは寿司じゃないものを」と注文していたのである。気の利く幹事である。
しかし、これが悲劇の元だった。寿司の代わりに来たものは、なんと魚の煮付け定食だった。
魚の煮付けなんてにおいをかいだだけでもうダメなのに。
思わず奇声を上げてしまった。
魚の煮付けは別の人が食べてくれて、私はのりが細く巻かれた、卵焼きばかりを6つも食べることになってしまった。
話は居酒屋に戻って・・・。
魚は嫌いだが、カニは大好きな私。
発泡スチロール容器を前に複雑な心境でいた。4人のうち2人は若手職員、代金は私と先輩職員の割り勘というのが妥当なところだろう。今日の財布の中身で足りるのだろうか。
飲み食べ始めてから少しして店のおばさんが来た。
「あら、おしぼりがまだだったわね」。
取りに行くかと思ったら・・・。
なんと、例の発砲スチロール容器からおしぼりを取り出したのである。
私の心境は、がっかりすると同時にほっとするという複雑なものだった。
「紛らわしいもの置いとくんじゃないよ」。


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